移住したくなったら

閉校校舎のキャンプ場 役場から11キロの山中 「不便さ」で逆に人気 豊丘村

閉校校舎のキャンプ場 役場から11キロの山中 「不便さ」で逆に人気 豊丘村

 リニア中央新幹線の関連工事や2020年7月豪雨の影響で4年間休業していた豊丘村神稲の野田平(のたのひら)キャンプ場が昨年から営業を再開し、今季も口コミで人気を集めている。キャンプ場は村役場から約11キロの山中にあり、一帯は携帯電話の電波が届きにくい。不便さを好むキャンパーたちの癒やしの場になるといい―とPRしている。
 キャンプ場周辺の集落は、満蒙(まんもう)開拓や戦後の三六災害により戸数が減少。昭和50年代までに全戸が移住した。これに伴い閉校した豊丘南小学校野田平分校を宿泊棟として活用し、1990年度に村営キャンプ場がオープン。2008年度からは村内のNPO法人が指定管理していたが、17年度から3年間はリニア関連事業の林道拡幅工事のため休業した。
 村内の知人を通じてキャンプ場を知った今井寿人さん(52)が専務を務める京都市の通信業「MEDIAWARS」(メディアウォーズ)が20年度、新たな指定管理者に。しかし、豪雨災害で初年度から休業を余儀なくされた。
 再開して2年目のシーズン。「ソロキャンプ」として独りで訪れる人や、懐かしんで再び訪れる人もいる。校舎内に三つある教室にはキャンプ用品の販売スペースを設けた他、卓球台やドラムなどの楽器を置き、利用者が楽しみながら交流できる。近年は便利なキャンプが人気だが、今井さんは「(ネット環境から遮断された)デジタルデトックスになるといい」と話す。
 完全予約制で11月中旬ごろまで。宿泊は1人2千円から。予約は同キャンプ場(電話070・1837・1001)へ。(2022年9月23日配信)

キャンプ場を指定管理する今井さん