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シャインマスカット 安いワケ 昨年より1房300~400円安く

シャインマスカット 安いワケ 昨年より1房300~400円安く

■酷暑で長野・山梨の出荷重なる 香港への輸出低調

 出荷ピークを迎えた高級ブドウ「シャインマスカット」が、近年にない安さで売られている。県内では標準的な大きさの1房で昨年より300~400円安いスーパーがあり、山梨、岡山県産も多く並ぶ東京都内ではより安値傾向や割安感が強い。全国的に生産拡大が続く中、酷暑で2大産地の長野、山梨県産の出荷時期が重なったことや、香港への輸出が低調なことが背景―と指摘されている。

 「100グラム当たり 本体価格239円」。21日、佐久市のA・コープファーマーズ佐久平店では、長野県産シャインマスカットの棚に税抜き価格を示す文字が躍った。県産の標準的な大きさ(1房500~550グラム)に相当する501グラムの房は税抜き1197円で、同店によると例年より300円ほど安い。

 今季は既に2回特売を実施。その際100グラム当たり179円で、500グラムだと900円弱の水準だった。「買う方としては助かる」と来店した年配の女性。ただ、「農家さんのことを考えるとね…」と複雑な表情を浮かべた。

 同店を含む県内スーパー10店をここ数日、記者が見て回ったところ、標準的な大きさの1房に税抜き1200円未満の値札を付ける店が4店。最安値は754円だった。大半の店が県産を並べていた。

 一方、東京都内のスーパー10店では、山梨県産の小ぶりな房をパック販売する店が目立ち、税抜き価格は10店とも1房1千円未満。750~800円未満が5店で最も多く、最安は680円だった。山梨県産を一房798円で販売した東京都北区のスーパー担当者は「昨年までは安くても980円だった」と語った。

 シャインマスカットの生産面積は2020年調査で長野639・7ヘクタール、山梨608・7ヘクタールでそれぞれ全国1、2位。長野県農政部などによると例年は露地栽培の本格出荷が山梨9月中旬、長野9月下旬と1週間ほどずれるが、今年は酷暑で長野の出荷時期がより前倒しされ、本格化が両県とも9月前半になった。

 R&Cながの青果(長野市)の担当者は「(両県産の出荷が)9月上旬からちょうどぶつかった。卸としては大きな在庫を抱えるわけにはいかないと安くても一気に売りさばいた」と解説。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を受け、香港への輸出が減ったことも背景にあるとした。(2023年9月22日配信)