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2年ぶりに「佐久バルーンフェスティバル」 知恵絞り無観客で

2年ぶりに「佐久バルーンフェスティバル」 知恵絞り無観客で

 全国から熱気球が集まる「佐久バルーンフェスティバル2021」が3日、佐久市で3日間の日程で始まった。新型コロナウイルス感染拡大で昨年は中止しており、開催は2年ぶり。今年は関連イベントを行わない「無観客」とし、参加33チームの選手やスタッフら計約250人の抗原検査をして開催にこぎ着けた。

 「ゴー」。気球を暖めるバーナーの音が響く。午前6時半、最初の気球が千曲川スポーツ交流広場をゆっくりと離陸した。「何とか大会が形になって良かった」。主催する組織委員会の事務局を担う市職員、大日方洸(ひかる)さん(28)はほっとした表情を見せた。

 広場は2019年10月、台風19号災害で地面がえぐれるなどの被害が出た。昨年のフェスは、災害からの「復興」をテーマに開く予定だった。しかし、新型コロナの感染が拡大。例年20万~30万人が全国から訪れることを踏まえ、やむなく中止を判断した。

 「どうすれば開催できるか」。この1年、関係者は知恵を絞った。各地の熱気球が集まり、操縦技術などを競うツアー戦は、他に全国4カ所で実施。無観客で開いた所、観客を入れた所の双方から話を聞いた。最終的に「競技優先」と決め、飲食ブースを設けずステージの催しもやめた。

 多くの人に見に来てもらえない分、発信を工夫する。会場から離れた市内5カ所の「観戦おすすめスポット」をホームページで紹介し、競技の様子を会員制交流サイト(SNS)でライブ配信。スポットの一つ、同市中込の「さくラさく小径(こみち)」では市内の小学1年、佐藤あかりさん(6)と妹のひまりちゃん(3)が「(バーナーの)音がびっくりするぐらい大きかった。風船みたい」とはしゃいだ。

 「今年の国内ツアー戦の皮切りとなる大会が開催できたことはありがたい」。副島弘壮(ひろもり)競技委員長(40)=佐賀県=は喜びつつ「大会後に感染者がいないと確認できるまで、気は抜けない」と表情を引き締めた。(2021年5月4日、信濃毎日新聞)

この記事を書いた人
1873(明治6)年に創刊した長野県で日刊新聞を発行する企業です。きめ細かい取材網を生かした公正で迅速な報道に努めてきました。紙面づくりや多彩なイベントを通じた読者との双方向性を大切にしながら地域の産業や文化の振興も目指してきました。販売部数は約43万9000部(2020年4月)。県内シェアは70%超。地域に親しまれ、信頼される長野県民の主読紙として、人と時代をつなぐ仕事に取り組んでいます。