2023.04.07
4年ぶり稚児行列開催へ 長野市・善光寺表参道で5月5日
長野市内の寺院でつくる市仏教会は、5月5日に開く恒例の催し「仏都花まつり」で4年ぶりに稚児行列を行う。新型コロナの影響で、催し自体の中止や法要のみの実施が続いていた。第100回の節目だった昨年の催しで開くはずだった信州ゆかりの仏教画家、野生司香雪(のうすこうせつ)(1885~1973年)の作品展も5月12~21日に予定。釈迦(しゃか)の生涯を描いた壁画の下絵などを展示する。
花まつりは釈迦の誕生を祝う催しで、善光寺表参道に当たる市内の中央通りを盛装した子どもたちが歩く稚児行列が名物。20年は催しを中止し、21、22年は法要のみだったため、市仏教会の会長を務める盛伝寺(吉田)の新津英明住職(67)は「できることがうれしい。3年分の心を込め、お勤めしたい」。稚児行列は人数を制限しない予定で、コロナ前と同規模の120人ほどとする。
晩年を信州で過ごした野生司は、善光寺雲上殿に「善光寺縁起」の壁画を描き、インド北部の寺院に釈迦の一生を描く壁画「釈尊一代記」を残したことで知られる。作品展では、中央通り沿いの北野カルチュラルセンターで約50点の作品を披露。曹洞宗の大本山永平寺(福井県)所蔵の釈尊一代記の下絵もあり、同寺住職に当たる南沢道人貫首(どうにんかんしゅ)(千曲市出身)が会場を訪れ、法要を執り行う。
所蔵する作品を貸し出す善敬寺(吉田)の海野英順(えいじゅん)住職(75)は「開催できて感無量。釈迦の生涯を描いた作品を通じ、野生司さんの思いや情熱が伝わればいい」と期待する。
10日には浄専寺(吉田)で、仏教会員が作品展のポスターとチラシを各地に発送する準備をした=写真。同寺の海野正住職(62)は、90回の花まつりの際に野生司の作品がある市内の寺院などを調べたといい、今回の作品展を担当。「野生司さんを知ってもらう機会をつくり、次の世代につなげたい」と話した。(2023年3月11日配信)