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おいしい? まずい? 忍者の携帯食を完全復元 信州大名誉教授・井上さん

おいしい? まずい? 忍者の携帯食を完全復元 信州大名誉教授・井上さん

 信州大名誉教授の井上直人さん(68)=南箕輪村、植物栄養学=が、江戸時代の古文書の記述を基に、忍者が長期間の行動の際などに持ち歩いたとみられる携帯食を復元した。そば粉やニンジンなどが素材で、直径約2センチの団子のような形。古文書には、6時間に1粒を目安に食べると「気力常よりも盛ん」になると書かれている。井上さんは「地域の産物を生かし、無駄なものがなく栄養的にも理にかなった食料」と評価している。

 作り方が記されていたのは、松本藩主戸田家に忍びとして仕えた芥川家が残した「芥川家文書」。携帯食は、忍術の一種「断喰(だんじき)ノ方」として紹介されている。文書を所蔵する松本市教育委員会によると、芥川家は甲賀武士がルーツで、1672(寛文12)年から幕末まで戸田家に仕えたという。

 携帯食は、そば粉を酒で練り、乾かすことを5回繰り返して下地を作る。これに、粉末にしたもち米とニンジンを加え、球状に固める。井上さんが栄養素を分析すると、アミノ酸の一種「アルギニン」や、血圧を下げるとされる成分「GABA(ギャバ)」が豊富なことが分かった。

 井上さんによると、文書の内容に興味を持ち復元に挑戦すると1回目で成功したという。「代々受け継ぐために何回も試作を重ね、誰でも作りやすい内容にしたのでは」。原材料から推測して1年以上保存が可能とみられるという。

 ただし、味は「苦くておいしくなかった」。また水分がなく「ぱさぱさしていて食べづらい」という。このままでは忍者ではない人たちには苦行になってしまうため、「現代人の口に合うようにアレンジしたい」と試行錯誤している。(2021年5月15日、信濃毎日新聞)

忍術「断喰ノ方」として使われた携帯食