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「戦争や平和をアプリで感じて」 松本大学生らが制作

「戦争や平和をアプリで感じて」 松本大学生らが制作

 松本大(松本市)の学生有志が、上田市出身のアーティスト・塚田守さんと協力して原爆の被害を伝えるスマートフォンアプリを制作し、30日に松本大で発表した。原爆体験者が描いた絵や、原爆の閃光(せんこう)を表現した塚田さんのアート作品が、AR(拡張現実)で目の前の何げない風景の映像に浮かび上がる。原爆や戦争を少しでも身近に感じたいと学生らは考えている。

 有志10人は本年度、平和に関する勉強会を月1、2回開き、第2次世界大戦末期の特攻や広島・長崎への原爆投下について学んできた。平和をテーマにしたアート作品を手掛けてきた塚田さんから提案があり、アプリの制作で協力。ナレーションやメッセージの収録などに臨んだ。

 アプリを起動すると、スマホをかざした目の前の風景画像を背景に、広島平和記念資料館(広島市)が公開している原爆体験者の絵10枚を見ることができ、タップすると、それぞれの説明を学生が読み上げる音声が流れる。スマホを上方向に向けると、原爆さく裂を表現した空がまぶしく光る塚田さんの作品が映る。勉強会を踏まえ、未来について考えた学生5人のメッセージビデオも視聴できる。

 2年の神戸美乃里さん(19)は「歴史として戦争や平和を学ぶ機会はあっても理解してのみ込むのは難しい。アプリで感じてほしい」。4年の雨宮かづみさん(22)は教員志望で、「平和について見つめ直し、子どもたちにどう伝えていくか考えていきたい」と話していた。

 アプリはソフト配信サイトで無料でダウンロードでき、10月末まで視聴できる。(2021年8月31日、信濃毎日新聞)

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1873(明治6)年に創刊した長野県で日刊新聞を発行する企業です。きめ細かい取材網を生かした公正で迅速な報道に努めてきました。紙面づくりや多彩なイベントを通じた読者との双方向性を大切にしながら地域の産業や文化の振興も目指してきました。販売部数は約43万9000部(2020年4月)。県内シェアは70%超。地域に親しまれ、信頼される長野県民の主読紙として、人と時代をつなぐ仕事に取り組んでいます。