2024.01.24
ペーパードライバーが長野移住!買うべき車や冬の運転についてプロに相談してみた
こんにちは、ライターの月岡です。
2020年に長野にUターン移住して早3年、毎日長野ライフを楽しんでいる一方で、悩んでいることがあります。
それは……車の運転が苦手!!
高校卒業まで長野で育ち、上京してから免許を取ったものの、ペーパードライバーのまま10年ほど経過。
「長野に来たら運転も自然に慣れるかな」なんて思っていましたが、「怖いから家族に運転してもらお」「まあ歩いていけるし」「チャリでなんとか」といった調子でのらりくらりと「運転」を避け続けた結果、ほとんど上達しないまま月日が流れてしまいました。
とくに冬期は路面の凍結や雪道が怖くて運転を避けがちで、「雪が解けたら運転練習しよう」と毎年思うものの、春には忘れているというパターン。
しかし、長野での生活をもっとエンジョイするためには車の運転が必須。温泉や景色の綺麗な場所、山奥でひっそりとやっている美味しいお店など、「長野の魅力的なスポット」は車じゃないと行けない場所が多すぎる!
そして、いつまでも周りの人に運転をお願いするのもなんだか申し訳ない……。
このままじゃダメだ! と思い、訪れたのは長野県警本部!
「初心者の運転ってどんなところに注意すればいいの?」「長野の冬は運転するには危ない?」「そもそもどんな車を選べばいいの?」など、運転の不安を解消すべく、長野県警交通安全対策室長の島田さんにお話を聞いてきました。
交通課の警察官も、最初は初心者ドライバー
- 月岡さん
- 私、長野に移住してきたはいいものの、運転が苦手なんです。教習所でもハンドル操作を誤ってタイヤを破損させてしまった過去があるくらいで……。運転への苦手意識がずっと消えないんです。
- 島田さん
- ははは(苦笑)。私も免許を取った学生の頃は、都内に住んでいてずっとペーパードライバーでしたよ。長野に戻って警察官になってから、パトカーを運転するためにおっかなびっくり練習したのを覚えています。
- 月岡
- 警察官の方も最初はおっかなびっくりなのか……! ちょっと親近感が湧きます。
- 島田さん
- パトカーは審査に合格しないと乗れないんです。通勤や買い物など、日常生活の中で運転の練習をしましたね。たまに背中に変な汗かいちゃったりもして。
- 月岡
- 変な汗、めっちゃわかります! しかも、警察官としてのプレッシャーもありますもんね。
- 島田さん
- でも、そういった初心者ドライバーの緊張感はとても大事なんですよ。運転に慣れてきたがゆえに安全確認を怠って、事故を起こしてしまうこともありますし。初心を忘れないで欲しいです。
最初は運転に慣れている人に助手席に座ってもらって、近所のスーパーまで行ってみるとか、勤務先まで行ってみるとか、日常でよく使うルートから慣れていくのがよいと思います。
- 月岡
- 山奥の温泉ドライブにチャレンジする前に、まずはご近所から練習ですね。
- 島田さん
- はい。どうしても不安な方は、教習所のペーパードライバー教習などを受けてみるのもよいかもしれません。ご自身の運転で不安な部分を伝えて教えてもらうのはいかがでしょうか。
長野県は「運転しやすい県」?
- 島田さん
- 事前に運転ルートを決める際に、なるべく単純な道を選ぶのも大事です。
細すぎる道や車線が多すぎる道を避けたり、なるべく左折のみで行ける道を選んだり。抜け道は車が通りにくかったり、人や自転車が急に出てくる危険があります。ちょっと遠回りでも安全な道を選ぶのがよいです。
- 月岡
- 確かに、車線が多い道での右折や細い道での対向車とのすれ違いは、初心者にはハードルが高いです。
- 島田さん
- そういう意味では、長野県は運転初心者に優しい道が多いんですよ。
- 月岡
- というと?
- 島田さん
- 車線がいくつもあってレーン構成が複雑な東京などに比べれば、長野県はシンプルな道が多いので練習しやすいんです。
また、長野県民は交通安全意識が高い方が多く、JAFの調査によれば長野県は「信号機のない横断歩道での車の一時停止率」が、平成28年から令和5年まで8年連続全国1位なんです。
- 月岡
- そんな県民性が! 歩行者だけでなく、初心者ドライバーも安心できる結果ですね。
- 島田さん
- 他にも、令和4年の交通事故死に関するいくつかの指標を全国の都道府県と比較してみると、
・人口当たり死者数:33位
・車両台数当たり死者数:45位
・免許人口当たり死者数:37位
・道路実延長当たり死者数:46位
・走行台キロ当たり死者数:40位
と、軒並み少ない人数となっています。
- 月岡
- 車社会だから運転する人も車の台数も多いはずなのに、交通事故死は少ない。みんなが安全運転を心がけているのが数字に現れているんですね。
- 島田さん
- もちろん、ドライバーにはいろんな方がいるので、運転には十分注意をしていただきたいことに変わりはないですが、他県に比べて「運転するのが危ない県」ではないと思います。
自分がしっかり交通ルールを守って、危ないときに止まることができていれば、基本的には事故にはなりませんからね。
長野県民ドライバーが避けて通れない、冬の運転
- 月岡
- そうは言っても、長野県の運転で不安なのは冬ですよね。道は凍るし、吹雪で前が見えないこともあるし……。とにかく怖いイメージがあるのですが、どんなことに気をつけたらよいですか?
- 島田さん
- やはりスタッドレスタイヤの装着は必須です。長野の冬でよくあるのは、初雪などで急に冷え込んだ時にまだタイヤを変えていなくて、「でも仕事は行かなきゃいけないから……」とそのまま出発してしまって、スリップして事故、というパターンです。
- 月岡
- めちゃくちゃやりそう……。聞いただけでヒヤッとしました。
- 島田さん
- 冬になったらスタッドレスに変えなければいけないので、二週間早かろうが一ヶ月早かろうが変わりません。なので、なるべく早めに変えてください!私も毎年11月中には変えるようにしてますよ。
- 月岡
- 11月中! 秋の終わりごろには変えておいた方がいいんですね。
- 島田さん
- また、最近は「オールシーズンタイヤ」なども出てきていますが、気温が低く凍結する道が多い長野の冬ではスリップする危険があります。
- 月岡
- オールシーズンってことは、冬でも大丈夫じゃないんですか?
- 島田さん
- スタッドレスタイヤは溝が深くてゴムが柔らかく、グリップ力が強いので凍った路面でも止まることができます。オールシーズンタイヤは溝が深いものの、ゴムが固いため、滑ってしまうのです。
都内など、気温が氷点下になることが少ない地域ではオールシーズンタイヤでもよいかもしれませんが、長野の冬は必ずスタッドレスタイヤにしてください!
- 月岡
- 長野県民ならスタッドレスタイヤに変えるのは常識かもしれませんが、移住してくる方知らない可能性もありますしね。
- 島田さん
- 晴れている日や雪があまり無い場所などはノーマルタイヤで走れると思われるかもしれませんが、「橋の上に行ったら路面が凍っていた」「夜になったら凍って滑り始めた」など、路面の状態はすぐに変わってしまうものです。とにかく、早めにスタッドレスに変えておくに越したことはありません。
それと、私はマイカーは四輪駆動を選んでいます。
- 月岡
- 四駆一択!その心は?
- 島田さん
- 二輪駆動だと、凍結した坂道を登れないことがあるのです。特に後輪駆動(FR)だと危険。上り坂の信号待ちで止まったらもう動けない、なんてこともあります。
- 月岡
- 怖すぎる!
- 島田さん
- 経験上、四駆でスタッドレスを装着していればそういうことはありませんから、冬の運転のためにも四駆の車にしています。
ただ、四駆は車体が重いので、一度滑ってしまうと止まりにくいという面もあります。車やタイヤの装備は十分にしつつも過信しすぎず、路面が凍っている時はとくにゆっくり運転を心がけてください。
雪国での運転で使える便利グッズ
- 月岡
- ほかにも冬の運転で気をつけることはありますか?
- 島田さん
- たとえば冬の朝に通勤で車に乗る前、窓が凍っていると周囲が見えなくて非常に危険です。
また、屋根に積もった雪を降ろさないまま走ってしまうと、走行中に屋根から雪が落ちて他の車に当たってしまったり、停車した拍子にフロントガラスに落ちてきて視界を塞いでしまったりしてこれも危険です。
- 月岡
- 雪下ろししないで走ってる車、たまに見かけます。道に雪の塊が落ちてて「邪魔だし危ないな」と思ったこともあります。
- 島田さん
- 必ず出発前の10分程度はエンジンをかけて車を温め、凍った窓ガラスを溶かしたり雪下ろしをして運転前の準備をしてください。
外出先でも、買い物している間に車体が凍ったり雪が積もったりなんてこともありますから、車内に雪下ろし用のスノーブラシを積んでおくと安心です。
- 月岡
- 冬に長野のホームセンターで必ず売ってるアレですね!ちなみに、冬のパトカーはどうしているんですか? ゆっくり暖気させる時間はないような……。
- 島田さん
- おっしゃる通り、パトカーは現場に急行しなければいけないので、雪下ろしをしている時間はありません。なので、あらかじめ雪よけの窓カバーを積んでおいて、停めている間はかけておくなどの工夫をしています。
車の凍結を防げますし、カバーを外せば雪もすぐに落とせるので便利です。ホームセンターで売っているので、屋根のないところに車を停めている方にはおすすめですよ。
- 月岡
- 確かにそれは真似したいです!出勤前に毎朝雪下ろしするのは面倒だし。
スタッドレスを早めに履いて、雪対策グッズをしっかり準備して、ゆっくり運転すればなんとかなる気がしてきました。
- 島田さん
- 長野は雪国なので、雪道に慣れているドライバーも多く、普段とあまり変わらないような速度で走っている車もあります。でも、冬はおっかなびっくり慎重に運転するのが大正解です。
「周りの車の速度についていかなきゃ……」などとプレッシャーを感じる必要はないので、危ないと思ったら速度を落としましょう。自分の運転には自分で責任を持つ意識が大切です。もちろん、天候が悪い時は無理に運転しない、というのが一番の事故防止になりますね。
- 月岡
- 冬の運転こそ特に初心が大事ってことですね。
運転初心者におすすめな車の選び方
- 月岡
- 島田さんのマイカーは四駆とのことですが、初心者はどんな車を選んだらよいでしょうか?
- 島田さん
- 最初は軽自動車やコンパクトカーなど、小さくて取り回しのよい車がおすすめです。最近は、サポカー(安全運転サポート車)も増えていますね。私もマイカーではサポカーです。
- 月岡
- サポカー、聞いたことあります!
- 島田さん
- 私は、バックする時に周囲が見える、「360度モニター」がついた車に乗っています。狭い駐車場でも、モニターで見れば死角もないし、簡単に停められます。
- 月岡
- 駐車がめちゃくちゃ苦手な私には、一番欲しい機能かもしれません。
- 島田さん
- 最近は、こういった便利な機能がついた初心者に優しい車がたくさんあるんですよ。運転しやすい一台を選べたら、運転も安全かつ楽しくなるのではないでしょうか。
- 月岡
- でっかいジープとか乗り回せたらかっこいいな〜と思っていましたが、私にはまだ早いということがわかりました(笑)。
- 島田さん
- 先ほど言ったように、雪道では四駆がおすすめな一方で、車体が重いと一度滑ってしまった後に止まりにくいんです。ジープなどの大きくて重い車は特にそう。そういった部分も考慮して、最初はコンパクトな一台をおすすめします。
- 月岡
- 初心者を助けてくれる機能がついた、小回りのきく四駆ですね。わかりました!
みんなにできるなら私にもできる
- 月岡
- やはり運転には危険が付きものである一方で、しっかり練習や準備をして初心を忘れなければ、前向きに長野の車ライフを送れそうな気がしてきました!
- 島田さん
- よかったです。運転しはじめの頃って、ベテランドライバーがスーパーマンみたいに思えますよね。私も最初はそうでした。
長野県での生活と車の運転は切っても切り離せないので、「運転できるようにならなきゃ」というプレッシャーを感じるかもしれませんが、少しずつ慣れていけばきっと大丈夫です。長野県民のほとんど車に乗って生活してますから。
- 月岡
- 確かに。みんなにできているなら、私にできないということはないはず。
- 島田さん
- 最初は変な汗かきますけどね。それが大事です。たまに変な汗かいちゃうくらい、初心を忘れなければきっと大丈夫。安全運転で、楽しい長野のカーライフを送ってください!
- 月岡
- はい! まずは近所のツルヤまで行くルートの練習から始めてみたいと思います。ありがとうございました!