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「敵をてこずらせる」上田城跡 住民、最新調査を学ぶ

「敵をてこずらせる」上田城跡 住民、最新調査を学ぶ

 上田市教育委員会は9日、上田城跡公園で3月に行った発掘調査の現地説明会を開いた。上田城の武士が出陣前に集合した「武者だまり」を整備するための調査で、江戸時代に存在した堀「三十間(さんじゅっけん)堀」や、「冠塀台(かんむりべいだい)」の名称で記録が残る石垣について市教委生涯学習・文化財課の和根崎剛政策幹が解説した。2回で計約50人の住民らが参加した。

 三十間堀は公園内の旧市民会館駐車場北側にあった。東西50メートル弱、南北15メートル前後とされ、一部を発見。縁を斜めに掘り込んだ様子が分かり、上部には複数の石が見つかった。和根崎さんは「水が集まりやすい場所。城で使う水を入手する場だった可能性があるが、善光寺地震(1847年)後に枯れたとの説もある」と話した。

 冠塀台は東虎口櫓(こぐちやぐら)門の東側にあったとされる。現場では櫓の石垣に使われている緑色凝灰岩の破片が列をなして見つかった。石垣の根石を置くための土台なのか、石垣の中に詰めていたものなのか、まだ分からないという。

 和根崎さんは「敵をてこずらせるよう造られた上田城の複雑な構造を感じていただけるよう、しっかりと確認したい」と説明。父親と参加した市内の中学1年生白川蒔人(まきと)さん(12)は「歩いている所にも堀があったと分かり、面白い」と関心を寄せていた。

 発掘調査は昨年も実施。この夏にも計画している。(2023年4月11日配信)