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五輪向けバラ7000本 突然キャンセル 中野の農家がCF挑戦

五輪向けバラ7000本 突然キャンセル 中野の農家がCF挑戦

 中野市七瀬のバラ農家、保科利徳さん(42)が、東京五輪の関連イベント向けに注文を受けながらキャンセルされ、行き場を失ったバラのドライフラワー7千本の購入者を探している。心を込めて育てたバラを処分することなく、魅力を広く伝える機会に転じようと、事業資金などをインターネットで募るクラウドファンディング(CF)に挑戦。反響に手応えを得ている。

 5月中旬、知り合いづてに東京の生花店から3万本のドライフラワーの相談を受けた。保科さんのバラ園が作るドライフラワーは年間千本程度。対応できるか分からなかったが、新型コロナの影響で花の需要の先行きが見通せない中、大口の注文は「大切な仕事」と引き受けた。五輪に関われるのは「名誉」との思いもあったという。

 生花を出荷しながら早朝などに一日平均約500本を干して準備していたが、6月下旬、突然キャンセルの電話が入った。理由や詳しい状況の説明はなかったという。

 「このままでは捨てるだけだ」と悩んでいた時、生花店の情報交換の場づくりなどを手掛ける青木善則さん(千曲市)から、運営するCF用ウェブサイト「tanetomi(種と実)」の利用の提案を受けた。3千~10万円の金額に応じて提供するドライフラワーのセットを用意し、今月26日に購入の受け付けを開始。初日に目標金額の20万円を達成し、3500本ほどの行き先が決まったという。

 CFは9月3日まで続け、さらに購入を呼び掛ける考え。保科さんは「支えてくれる人の存在が見え、つらい経験が新しい発見につながった」と話している。(2021年7月28日、信濃毎日新聞)

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1873(明治6)年に創刊した長野県で日刊新聞を発行する企業です。きめ細かい取材網を生かした公正で迅速な報道に努めてきました。紙面づくりや多彩なイベントを通じた読者との双方向性を大切にしながら地域の産業や文化の振興も目指してきました。販売部数は約43万9000部(2020年4月)。県内シェアは70%超。地域に親しまれ、信頼される長野県民の主読紙として、人と時代をつなぐ仕事に取り組んでいます。