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社長宅に眠っていたフィルム=昭和初期の諏訪の無声映画

社長宅に眠っていたフィルム=昭和初期の諏訪の無声映画

 酒造・燃料販売の豊島屋(岡谷市)の林新一郎社長(73)は、自宅に眠っていた35ミリフィルムが、昭和初期の諏訪市や岡谷市などを映した無声映画だと分かり、DVD化して22日に市に寄贈した。映画には懐かしい街並みや商店、造り酒屋などが登場。当時の息遣いを伝えられるよう字幕を新たに挿入し、来年2月に上映会が開かれる。

 映画は1934(昭和9)年の撮影とみられ、諏訪から和田峠を越えて善光寺詣でに向かう弥次さん、喜多さんの珍道中が描かれる。諏訪市清水にあった上諏訪温泉競馬場で競馬を、岡谷市本町の豊島屋の酒蔵で利き酒を楽しむ2人に加え、商店街を歩く人の姿や映画撮影に驚きつつ心を弾ませる人々の様子を知ることができる。

 豊島屋は映画のスポンサーだった。林社長が4月、文化財資源のデジタル化に詳しい小泉正夫さん(70)=諏訪市中洲=にフィルムの存在を知らせ、修復を依頼。劣化が進んでいたが、小泉さんが7カ月かけて修復する中で無声映画と分かり、鑑賞できるまでになった。

 林社長は「80年余で街並みがどのように変わったか見てほしい」と話す。小泉さんは、撮影場所が特定できなかった場所もあるとして、「映画を見てもらって分かることを教えてもらい、映画に肉付けしていきたい」と話している。問い合わせは豊島屋(電話0266・23・3515)へ。(2021年11月23日掲載)

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