2022.09.15
ホテル売却→キャンプ場経営 2度目の夏、にぎわい 長野市・豊野に移住の夫妻
長野市豊野町豊野に昨年7月オープンした「森の灯(あかり)キャンプ場」が2度目の夏を迎え、地元客を中心ににぎわっている。広域農道「北信五岳道路」近くでJR豊野駅から徒歩約15分という地の利もあって、常連客も。豊野地区は2019年秋の台風19号災害で被災。地域のにぎわいにつなげたいとの願いもこもる。
運営するのは、19年6月に隣接する空き家に移住した前田宗之さん(67)と教恵さん夫妻。小谷村のスキー場近くで20年余にわたりホテルを経営し、売却して移り住んだ。当初は喫茶店や民泊を考えていたが、新型コロナ感染拡大で難航。自宅の大家さんから裏山も借り、21年1月からキャンプ場整備を進めた。
約2800坪の敷地は「高さ3、4メートルもある竹やぶだった」(宗之さん)が、業者に依頼して伐採し、芝を植えた。最大28張りのテントが設営できる。利用客の9割は長野市など近隣からで、密集を避けられるとあって、日帰りでバーベキューを楽しむ家族連れや団体が多く、女性のソロキャンパーの姿も。
トイレ掃除や草刈りにも力を入れ、「こぢんまりとして安心感があるのかな」と教恵さん。既に10回以上利用した人もいる。「キャンプ場はいろいろな人が訪れる。お客さんとの関わりが楽しい」と2人は口をそろえる。
台風19号で豊野地区は浸水被害に遭い、商店街には空き店舗が目立つ。「豊野でやってくれてありがとう」と言ってくれる住民もいるといい、宗之さんは「人が集まれば地域の活性化にもつながる。地元の期待に応えられるよう頑張りたい」と話す。
秋ごろにはキャンプ場に隣接する自宅一角を改装し、アフタヌーンティーを楽しめるカフェを開業予定。宗之さんはバー営業もしたいと、夢を膨らませている。(2022年8月9日配信)