2021.06.16
「デパ地下みたい」な自販機人気 洋菓子や総菜を24時間販売 辰野
辰野町の下辰野商店街にある自転車の貸し出しなどを行う「グラバイステーション」のガレージに、洋菓子や総菜が買える自動販売機「D18room(ルーム)」が登場し、人気を集めている。箕輪町の飲食店が、感染リスクが低い非対面で24時間いつでも購入できる自動販売機の利点に目を付け、知り合いの飲食店主らに呼び掛けて実現。上伊那地域にある8店の味を手軽に楽しめる。
ブリトーやキャラメルプリン、ミートソース…。薄緑色の自動販売機の小窓に総菜やスイーツが並ぶ。5月下旬の夕方、散歩途中に立ち寄った近くの主婦原田美里さん(42)はフランスで食べられている菓子パンを購入し、「おしゃれな菓子が近所で買えるなんて夢のよう。毎回商品も違うので、ここを通るのが楽しみ」と声を弾ませた。
自販機を設置したのは、箕輪町の飲食店「ビストロなゆた」のオーナーシェフ佐々木奈由(なゆ)さん(岡谷市)。新型コロナウイルスの影響でテークアウトの需要が高まる中、「自販機1台でたくさんの店の商品を買えたら『デパ地下』みたいで喜んでもらえる」と導入した。
知り合いの飲食店主らに声を掛け、同町の他に伊那市と南箕輪村の店の商品をそろえた。自販機には商品が入った18の小窓があり、現金を入れて開けたい小窓の番号を選ぶと、鍵が開いて商品を取り出せる仕組み。冷蔵機能も付いている。
各店が数品ずつを自販機に入れ、価格は480~2500円と幅広い。佐々木さんらが1日2、3回、各店の商品を入れ替え、会員制交流サイト(SNS)で告知。3月下旬に設置するとすぐに評判になり、「売れ残りはほとんどない」(佐々木さん)ほどの人気ぶりだ。
自動販売機でさまざまな食品を売る試み。コロナ下で飲食店は逆境にあるが、佐々木さんは「飲食業を志す若者に挑戦してもらい、将来につながる新しい形になればいい」と期待している。(2021年6月2日、信濃毎日新聞)