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「デパ地下みたい」な自販機人気 洋菓子や総菜を24時間販売 辰野

「デパ地下みたい」な自販機人気 洋菓子や総菜を24時間販売 辰野

 辰野町の下辰野商店街にある自転車の貸し出しなどを行う「グラバイステーション」のガレージに、洋菓子や総菜が買える自動販売機「D18room(ルーム)」が登場し、人気を集めている。箕輪町の飲食店が、感染リスクが低い非対面で24時間いつでも購入できる自動販売機の利点に目を付け、知り合いの飲食店主らに呼び掛けて実現。上伊那地域にある8店の味を手軽に楽しめる。

 ブリトーやキャラメルプリン、ミートソース…。薄緑色の自動販売機の小窓に総菜やスイーツが並ぶ。5月下旬の夕方、散歩途中に立ち寄った近くの主婦原田美里さん(42)はフランスで食べられている菓子パンを購入し、「おしゃれな菓子が近所で買えるなんて夢のよう。毎回商品も違うので、ここを通るのが楽しみ」と声を弾ませた。

 自販機を設置したのは、箕輪町の飲食店「ビストロなゆた」のオーナーシェフ佐々木奈由(なゆ)さん(岡谷市)。新型コロナウイルスの影響でテークアウトの需要が高まる中、「自販機1台でたくさんの店の商品を買えたら『デパ地下』みたいで喜んでもらえる」と導入した。

 知り合いの飲食店主らに声を掛け、同町の他に伊那市と南箕輪村の店の商品をそろえた。自販機には商品が入った18の小窓があり、現金を入れて開けたい小窓の番号を選ぶと、鍵が開いて商品を取り出せる仕組み。冷蔵機能も付いている。

 各店が数品ずつを自販機に入れ、価格は480~2500円と幅広い。佐々木さんらが1日2、3回、各店の商品を入れ替え、会員制交流サイト(SNS)で告知。3月下旬に設置するとすぐに評判になり、「売れ残りはほとんどない」(佐々木さん)ほどの人気ぶりだ。

 自動販売機でさまざまな食品を売る試み。コロナ下で飲食店は逆境にあるが、佐々木さんは「飲食業を志す若者に挑戦してもらい、将来につながる新しい形になればいい」と期待している。(2021年6月2日、信濃毎日新聞)

この記事を書いた人
1873(明治6)年に創刊した長野県で日刊新聞を発行する企業です。きめ細かい取材網を生かした公正で迅速な報道に努めてきました。紙面づくりや多彩なイベントを通じた読者との双方向性を大切にしながら地域の産業や文化の振興も目指してきました。販売部数は約43万9000部(2020年4月)。県内シェアは70%超。地域に親しまれ、信頼される長野県民の主読紙として、人と時代をつなぐ仕事に取り組んでいます。