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明治初期に作られた「長野県町村誌」をデジタル化

明治初期に作られた「長野県町村誌」をデジタル化

 県内の歴史研究者らでつくるNPO長野県図書館等協働機構(事務局・長野市)は、明治初期に編さんされた「長野県町村誌」をデジタル化し、インターネットで公開している。全文がパソコンなどで読めるほか、調べたい地域の学校や地名などを検索することもできる。「足元の歴史を調べるのに活用してほしい」としている。

 同機構によると、町村誌は1875(明治8)年の内務省の指示で、当時の長野県と筑摩県が編さんに着手。数年かけて発行した。当時あった687町村を北信、東信、中南信編の3冊に分けて掲載しており、全体で計3722ページに上る。

 同機構は新たに「『長野県町村誌』と明治初期の村絵図・地図」と銘打ったサイトを開設。「山」「道路」「古跡・名勝」「学校」「橋」など14分野で各町村の記述を横断して閲覧できるようにした。「物産」の項目で「繭」や「たばこ」などのキーワードを入力すると、各品目の当時の生産量を調べることもできる。当時の絵図を撮影した写真も収録した。同機構のサイト「信州地域史料アーカイブ」の「特別コンテンツ」から閲覧できる。

 同機構は県内の歴史館や博物館の元職員ら30人ほどでつくり、2013年に発足。「読解が難しい地域史料を広く市民に届けたい」と、江戸時代に発生した千曲川の洪水や浅間山の噴火に関する当時の史料と現代語訳などをネットで公開してきた。

 町村誌は地域の歴史を調べる上で基礎的な資料となるため、昨年度にデジタル化。今年4月に公開を始めた。同機構理事長で県図書館協会長の宮下明彦さん(74)=千曲市=は「市民学習のほか、学校のオンライン授業にも活用してほしい」と話している。(2021年6月14日、信濃毎日新聞)

この記事を書いた人
1873(明治6)年に創刊した長野県で日刊新聞を発行する企業です。きめ細かい取材網を生かした公正で迅速な報道に努めてきました。紙面づくりや多彩なイベントを通じた読者との双方向性を大切にしながら地域の産業や文化の振興も目指してきました。販売部数は約43万9000部(2020年4月)。県内シェアは70%超。地域に親しまれ、信頼される長野県民の主読紙として、人と時代をつなぐ仕事に取り組んでいます。