2021.03.15
佐久の「五稜郭」往時の姿に 市教委が計画素案
佐久市教育委員会は、星形の城郭「五稜郭」で知られる同市田口の国史跡「龍岡城跡」について、今後の保存や活用への必要な整備を盛った「整備基本計画」の素案をまとめた。「竣工(しゅんこう)時の龍岡城にできる限り近い状態に戻す」とし、現存していない大手門の「復元整備を目指す」と記載。4小学校統合に伴い2022年度末で閉校する史跡内の田口小学校は、全施設を解体撤去するとした。
龍岡城は1867(慶応3)年、当時の藩主松平乗謨(のりかた)(1839~1910年)が築城。市教委によると、函館五稜郭とともに「日本に2カ所しかない」五稜郭だ。一方、完成当時の建物で史跡内に残るのは「お台所」だけ。さらにお台所は完成時とは別の場所に移築されており、計画素案は将来、一帯の復元図が作成された場合には「元の位置への移築・復元を検討する」とした。
田口小については閉校後、校舎や体育館などを解体・撤去すると記載。龍岡城は完成4年後の1871年に廃城となり、その後150年近くは田口小などの学校施設として利用されてきた。現校舎は1973(昭和48)年完成の鉄筋コンクリート造り。計画素案では「史跡とは関連しない要素」とされ、市教委は取材に「史跡に調和しない」としている。
市教委は2018年度、田口小などの統合に伴い「史跡価値が高まる整備」を考えるとし、19年度から有識者らの委員会を開いて今回の計画を検討してきた。(信濃毎日新聞、2021年3月13日)