2022.12.29
【2022年度版】子ども1人につき30万円!?長野の移住支援は100万円支給だけじゃなかった!
こんにちは。長野県出身・東京在住のライター・小林です。
僕にとって、近くて遠い長野移住。
足繁く長野に通いつつも、本格的な移住まではやはりまだ足踏みが続いています。
そんな中でも、長野県の移住支援金事情の話を聞いたり、ユニークな二拠点居住実践者に会ったり、だんだん長野県の移住事情に詳しくなってきました。
そんな僕が気になったことがあります。長野県がいろいろな移住支援をしているのは分かったけれど、
実際に移住者は増えたの?
僕みたいに足踏みしている人はいないの?
もっと背中を押してくれる支援はないの?
ということ。
そこで、今回もやってきました、長野県庁!
産業労働部で移住支援金を担当している清水彩人さん(写真・左)と、長野県内のさまざまな移住支援制度に詳しい「信州暮らし案内人」の清武まど加さん(写真・右)に話をお伺いしました。
テレワーカーが爆増中!長野県の移住のリアル
- 小林
- 早速なんですが、前回の記事で長野県って移住支援がめちゃくちゃ手厚いなと思ったんです。実際のところ、移住者って増えているんでしょうか?
- 清水さん
- ありがたいことに、移住者数は明らかに増えています。こちらが移住者数の実績値です。
年度 | 2019 | 2020 | 2021 |
移住者(人) | 2,323 | 2,426 | 2,960 |
支給実績(件) | 5 | 11 | 58 |
- 清水さん
- 2020年から2021年の間だけでも500人以上増えました。ちょうどこの期間に、移住支援金制度「UIJターン就業・創業移住支援事業」の対象要件を拡充したんです。
それまでは、県独自のマッチングサイトに掲載されている県内企業への転職者が支援対象だったのですが、テレワーカーや関係人口の方も新たに支援対象になりました。この制度と移住者数アップが直接つながっているかは分かりませんが、こうした制度のアップデートが移住者の方の後押しになっていたとしたら、嬉しいことです。
- 小林
- コロナ禍でテレワークもすっかり浸透しましたもんね。
清水さん- はい。実際に「UIJターン就業・創業移住支援事業」の利用者の8割くらいはテレワーカーの方です。
この制度を使って長野県に移住された方の中には、都市圏の大きな企業に勤められている方も多くいます。社内でリモートワークが解禁されたこともあり、働く環境を整えてテレワークを行っているそうです。「毎朝の満員電車がツラかったけれど、解放された」とおっしゃっています。
- 小林
- たしかに同じ仕事をするならば、長野県のゆったりとした環境の中で働くのもいいかもしれませんね。
- 清水さん
- まさに、「同じ仕事をするならば」という条件が大切なんです。「転勤」のように会社側の意思で長野県に来るのではなく、あくまで自分の意思での「移住」というかたちでなければ支援の対象にはなりませんので。
- 小林
- なるほど、自分の希望で移住しないと支援対象にならないんですね。でも、いきなり移住を決めるのではなく、まずはいろいろと相談したいのですが、長野県庁に来ないといけないんでしょうか?
- 清武さん
- いえいえ、そんなことはありません。たしかに、県庁の窓口に直接来られる方やお電話される方もいらっしゃいます。でも、Zoomによるオンライン相談も行っていますし、東京・大阪・名古屋といった三大都市にも移住相談窓口を置いているので、そこにご相談されて移住される方も多い印象ですね。
- 小林
- 僕も東京に住んでいるのに知らなかった!三大都市には移住相談窓口があるんですね。
- 清武さん
東京にはふるさと回帰支援センターや銀座NAGANO移住・交流センター、大阪には長野県大阪移住・交流サポートデスク、愛知県には長野県名古屋移住・交流サポートデスクといった窓口があります。 こちらのサイトに移住相談窓口をまとめたので、参考にしていただくとよいでしょう。
まずは、それらの窓口にご相談いただき、気になった市町村があれば、移住を希望者する方・県の職員・市町村担当者の3者でオンライン相談を実施。さらに深く知りたいと思えば現地見学をして、最終的に移住するかどうかを決定する、といった流れが多いですね。
- 小林
- まずは気軽に相談し、その後に自分の目で現地を確認する。ちゃんとステップを踏んで検討していくんですね。
子育て世帯には支援金を追加!より充実していく移住支援
- 小林
- ちなみに、新しい移住支援制度も始まったりしているんでしょうか?
- 清水さん
- はい。2022年度から「UIJターン就業・創業移住支援事業」に「子育て世帯加算」が加わりました。
これまでは、長野県や移住先市町村が定める要件を満たした単身世帯に最大60万円、2人以上の世帯に最大100万円支給していました。そこに追加するかたちで、18歳未満の子どもを帯同する世帯の場合、帯同する子ども1人あたり最大30万円を加算するようにしました。
- 小林
- 1人あたりということは、子どもの数が増えたらそれだけ支給金額も増える……?
- 清水さん
- もちろんです。両親と子ども1人で移住したら最大130万円、子どもが2人だったら最大160万円といったイメージです。
- 小林
- めちゃくちゃありがたいじゃないですか。僕も子どもがいるし、ますます移住したくなっちゃう。
- 清水さん
- 特に地方では子育て世帯も減少していますからね。そういった方々に移住していただけたらありがたい、という思いもあります。
「UIJターン就業・創業移住支援事業」は各市町村と共同で行っている支援なのですが、対象自治体も増えて今は65市町村に拡大しました。子育て加算についても、それぞれの自治体で足並みを揃えてもらっています。
- 小林
- なるほど。ちなみに、自治体独自の移住支援の取り組みも増えてきているんですか?
- 清武さん
- はい、増えています。たとえば、若者定住促進住宅や若者定住家賃補助などを設けている市町村もあります。
また、上松町では、子どもと一緒に移住された方に「ウェルカム祝い金」として「UIJターン就業・創業移住支援事業」のほかに、中学校卒業前までの子どもの人数に応じて3万円以上の商品券をプレゼントしていたり、子どもが生まれたら出産祝い金の10万円と地域共通商品券を、町長さんが直々に家まで届けてくれたりするそうです。
- 小林
- 町長さんが自宅までお祝いに!
- 清武さん
- 長野市では長野駅から徒歩10分以内という利便性が高い立地に賃貸住宅があります。通常8〜10万円ほどの家賃ですが、移住者が入居する場合は、なんと3年間は半額、4〜5年目は8割の家賃で住むことができるため、大変人気が集まっています。
ただ、これらの支援制度は、現時点(取材時であるR4.10月時点)のものでして、予算の関係で支援に限りがあったり、住宅については既に入居者が決まっている場合もありますので、具体的な利用に当たっては制度を実施している市町村にお問い合わせください。
支援対象者以外の移住も、もちろん大歓迎
- 小林
- 子育て支援だったり、広い住宅の支援だったり、ファミリー層に手厚い支援が増えていると感じます。長野県としては、子育て世帯に来てほしいといった思いがあるのでしょうか?
- 清武さん
- 一見、制度上はそう見えてしまうかもしれません。そこが難しいところなんですよね。どうしても、対象者の要件を限定した新たな施策に取り組むと、「対象者以外の方は求めていないのか」といったお声をいただくこともあります。でも、当然そんなことはなくて。単身者の方の移住だって、もちろん大歓迎です。
- 清水
- 長野県としても、単身の若者や学生のUIJターンを促進するようなイベントや支援事業を積極的に展開しているんです。首都圏在住の方を対象にした「ナガノのトビラ」や、学生を対象にした「シューカツ NAGANO」は、その例です。また、市町村では婚活イベントなども実施しているところもありますね。
これからも長野県としては、特定の層の方だけに絞るのではなく、「信州で暮らしたい」という思いを持ったさまざまな人のサポートをしていきたいと考えています。
移住者が増え続けている長野県。
人生が大きく変わる「移住」というタイミングだからこそ、支援制度を使って少しだけ背中を押してもらうのもいいかもしれません。
ただ、おふたりいわく、移住を成功させるコツは、「移住したい目的・叶えたいライフスタイルを明らかにすること」。そこが明らかになれば、支援してもらいたい内容も明確になり、受けられる支援制度も見つけやすくなるのだそう。
そして、あくまで支援制度は補助制度ととらえ、余裕を持った移住計画を立てることだといいます。
僕も長野県で幸せに暮らす未来を想像しながら、移住を考えていきたいと思います!