移住したくなったら

結婚したい28歳が、自治体が運営するAIマッチングシステムに登録してみた!

結婚したい28歳が、自治体が運営するAIマッチングシステムに登録してみた!

こんにちは。SuuHaa編集長の藤原です。この写真は先日のイベントに登壇した際の様子。

大体40前後と間違われますが、こう見えて1994年生まれ。本当はまだまだ若々しい20代なんです。

でも、この年になると、周りはだんだんと結婚したり、子どもが生まれたり、家庭を築きはじめる人もちらほら。そんなSNSを羨ましく眺めていると、独身の僕も結婚願望がふつふつと湧き上がってくるようになりました。

ということで!
世の中にマッチングサービスはたくさんあるけれど、今回はあえて、長野県の市町村が運営する公的結婚相談所に行くことに!

2023年4月から松本市の結婚相談窓口は四賀地区地域づくりセンターから、松本市役所本庁舎の移住推進課に変わりました。

訪れたのは、松本市四賀地区の相談所。実はこちら、県内でもっともカップルが誕生している結婚相談所なのだとか。

ここで何組ものカップルを見届けてきたキューピッド、四賀地区地域づくりセンター結婚推進担当相談員・海野寿子さんに話を聞きながら、実際に結婚相談所に登録してみました。

印象を決める写真が重要!結婚相談所への登録作業とは?

藤原
僕、結婚したいんです。
海野さん
いきなりね(笑)。そうしたら、長野県が運営しているマッチングシステムサイト「NAGANO ai MATCH」に登録しましょうか。満18歳以上の独身の方で、インターネット環境があれば登録できます。
藤原
今さらですけど、長野県もマッチングシステムサイトを運営しているんですね。登録にはどのような手続きが必要なんでしょう。
海野さん
基本的な登録のフローを整理したので、こちらの図をご覧ください。
藤原
ふむふむ。まずは仮登録からはじめる、と。
海野さん
はい。こちらのサイトで利用規約を確認し、入会申し込みをすると数分で仮登録が完了します。その後、申し込みしたメールアドレス宛に受付番号と来所予約用のURLが届くので、そこからご希望の相談所に来所予約を行ってもらいます。
藤原
そして必要書類の準備になるんですね。ここでは、戸籍謄本か戸籍抄本、もしくは独身証明書が必要になるのか。独身証明書、なんてものがあるんですね。
海野さん
そう。結婚相談所への登録に当たって、独身であることを証明しなければなりませんから。ただ、必ずしも独身証明書でなくても大丈夫です。実際に登録者の大半は、戸籍謄本か戸籍抄本を持ってこられます。
藤原
たしかに市役所などの窓口で「独身証明書をください!」というのはさすがの僕でも抵抗があるなぁ。戸籍謄本や戸籍抄本であればコンビニでも発行できますし。
海野さん
そして、意外と大切なのが写真なんです。藤原さんはどんな写真を登録しようと思っていますか?
藤原
こちらの写真なんかどうですかね? スーツでキメた僕と、犬を抱いている癒やしの僕と、白黒でおしゃれな僕です。正直どれもいい写真なので決めかねるんですが。
海野さん
これは全部NGね。
藤原
え……
海野さん
だってスーツは表情がかたいし、猫の写真は頭が枠からはみ出している!白黒の写真も横を向いているじゃない!
藤原
そんな……!婚活写真って難しいんですね。
海野さん
写真は印象を大きく左右しますからね。ポイントは、笑顔で撮ること、そして、3ヶ月以内の写真であること。よし!今回は、代わりに私が撮るので任せてください。こう見えても、登録者さんの写真を何枚か撮ってきたことがあるんです。
実際にその場で海野さんに撮ってもらう登録者もいるそう。

目的は交際ではなく結婚。長期的な視点でプロフィールの登録を。

藤原
撮影ありがとうございました(笑)。そして、次は登録作業ですね。
海野さん
はい。まず「NAGANO ai MATCH」を利用する条件として、長野県内の各市町村にある公的結婚相談所に登録していることが必須となっています。だから、まずは相談所への登録作業を行いましょう。

各市町村ごとに登録作業の中身は異なりますが、松本市では、承諾書と登録申込記入表の記入をお願いしています。ちなみに、これらの用紙は、ご相談いただければ事前に郵送することも可能です。相談所で記入するお時間がない方は、ご自宅で書いて持参いただいても大丈夫です。
藤原
こちらが2つの書類ですね。それぞれどんな書類なのでしょう?
海野さん
承諾書は、別市町村の相談所など、外部団体にお相手を紹介するときに相手方に情報を提供してもよい、ということを承諾するためのもの。本人同士でやり取りする「NAGANO ai MATCH」以外にも、相談員に仲介してもらって婚活を進めたい場合、この承諾書があれば登録した市町村以外にも対象を広げてアプローチすることができます。

そして、登録申込記入表は、結婚に関する希望や条件、自身のプロフィールなどを記入します。こちらは実際に書いてもらいながら確認してもらった方がいいでしょう。
藤原
はい! 名前や住所、学歴などを書いて、と。

ん!? 自己PRの記入欄がありますね。何を書こうかな……。
海野さん
けっこうみなさん自己PRで迷われるんですよね。個性を出したいけれど、自分で自分のことをアピールするのってなかなか難しい。だから、「周りからはこう言われます」という書き方にするのがおすすめです。ちなみに藤原さんは周りからなんて言われることが多いですか?
藤原
「ちょっと老けてる」とかですかね。
海野さん
さすがにストレートすぎるので「実年齢よりも落ち着いている」としておきましょうか。
藤原
急にポジティブになった!その表現、いただきます。次は「相手への希望」か。これも具体的に聞かれると、なかなかすぐに思いつかないなぁ。
海野さん
でも、ここも意外と重要なところ。もし、相談員に仲介してもらう場合は、ここに書かれている内容をもとにマッチングするので。たとえば、「優しい人」という大まかな内容を書く人から、「箸の持ち方がきれいな人」といった細かい内容を書く人までさまざまです。
藤原
なるほど。じゃあ、僕は「字がきれいな人」にしておこう。ちなみに相談員として海野さんは、これらの書類でどういったところを見ているんですか?
海野さん
ご家族の状況とかはチェックしていますね。たとえば、将来同居するのか、ご高齢の家族がいたら介護しなくてはいけないのか、など。最終的にはご本人同士が納得すれば問題ないことではあるのですが。
藤原
たしかに、結婚ともなると長期的な視点が必要ですもんね。家族構成なんて、既存のマッチングアプリではなかなか書かないかもしれない。
海野さん
あくまで結婚相談所の目的は、交際ではなく結婚ですから。普通のお付き合いだったら、最初からいきなり家族の状況を知らせたら何となく重たいような気がしますよね。

でも、ここはお付き合いする前に、その状況がわかっている。だから、交際後から結婚までがスムーズなんです。仮交際からはじまって1ヶ月で結婚に至るケースもありますよ。
藤原
なんと! 結婚ベースのお付き合いだと、そんなに早く進むんですね。
最後に書類をチェックする海野さん。

長野県が運営するマッチングシステム「NAGANO ai MATCH」の使い方。

藤原
無事、書類作成が終わりました!
海野さん
ありがとうございます。こちらで結婚相談所への登録が完了です。これで「NAGANO ai MATCH」に登録することができるようになりました。この登録作業は、相談所内のパソコンに入っているシステムから行っていただきます。
藤原
こちらもプロフィールなどを入力していくんですね。ここではニックネームを登録するのか。
海野さん
そう。そこは既存のマッチングアプリと一緒。お見合いするまではニックネームでやり取りしてもらいます。本名をお伝えするタイミングは、本人にお任せしています。実際にお見合いしたときに名乗る人や、お付き合いをはじめるタイミングで相談員から教えてもらう人もいますね。
藤原
なるほど。僕は名字が「藤原」だから歴史上の人物をもじって「鎌足」にしておこう。
海野さん
なかなかコアなニックネームをつけますね。
藤原
よし! システムの入力も完了しました!
海野さん
あとは、登録料として10,000円を振り込んでもらえれば登録は完了です。これで自分のスマートフォンで結婚相手を探すことができるようになります。イベントに参加すると登録料が割引になるキャンペーンもやっていますので、ぜひチェックしてみてください。

お見合い相手は第一希望から第三希望まで。3人に申し込むことが可能。第一希望の方から順に5日以内に回答が返ってきて、もしその時点でお見合いが成立すれば、第二希望、第三希望の方への申し込みはリセット、第一希望の方にご縁がなければまた第二希望の方から5日以内に回答をいただく……といった流れになっています。
藤原
基本的に同時並行はしない、と。
海野さん
そうですね。基本的にお一人ずつ向き合ってもらってもらいます。お見合い成立後は、ほかの登録者の閲覧も申し込みもできません。

そして、お見合いが決定してからは、チャット機能を使って日程調整してもらいます。基本的には、申し込まれた側が日程を指定して、申し込んだ側が承認ボタンを押すという流れ。お見合い後は、仮交際に進むかどうかの意思をおたがいにボタンで示します。そして、二人ともおたがい交際の意思があるとわかったら、結婚前提の仮交際へ進むという仕組みです。
藤原
なるほど。それぞれの段階でお互いの意思をはっきりさせる機能がシステムに入っているんですね。

ひとつのツールに依存しない。行政のサポートを活かした婚活の進め方。

藤原
いやぁ、海野さんにたくさんアドバイスをいただいたおかげで、無事登録ができました。ちなみに、ここからお見合いや仮交際に進んでいく際にも海野さんに相談することってできるんですか?
海野さん
はい。写真を撮り直したり、自己PRを変更したり。さまざまな相談に乗っています。もちろん実際にお見合いが決まって相手に会うときの相談も対応範囲。「こんなことをするといいかもよ、こんなことはしない方がいいかもね」とアドバイスしています。

相談所が開設しているときに足を運んでもらってもいいし、メールなどの連絡ツールで相談をしていただいても構いません。「NAGANO ai MATCH」上にも、相談員と個別チャットができる機能が備わっています。
藤原
デートのアドバイスもしてもらえるなんて、まさにキューピット。
海野さん
相手の気持ちを知りたいときは、相談いただければ、相手方にヒアリングすることもできますよ。それが、本人たちだけでなく、相談員がいる価値だと思っています。

もし相談員にがっつり間に入ってもらいたければ、結婚推進事業を併用するのも検討してもらいたいところ。そこでは、先ほど記入いただいた書類と写真をもとに条件に合う方を相談員がマッチングします。場所も時間も全部こちら側で決めるので、あとは当日行くだけなんです。
藤原
なるほど。自分で気軽に婚活したいんだったら「NAGANO ai MATCH」、相談員さんにしっかり介入してもらいたかったら結婚推進事業を使う、と。
海野さん
はい。ただ、これらのサービスを利用いただくに当たって、数ある婚活ツールのひとつでしかない、という認識を持ってもらえたらありがたいです。
藤原
と、いいますと?
海野さん
たとえば「ここで相手が見つからなかったら終わりだ」と思ってしまったら、見つからなかったときにショックが大きい。結婚ってご縁だから、必ずしも自分が望むタイミングで結婚相手が見つかるとは限りません。その確率を上げるための手段だと捉えてもらえたらいいと思います。
藤原
なるほど、ほかのマッチングアプリと併用するのもアリかもしれませんね。月々の利用料を考えたら、「NAGANO ai MATCH」の登録料はリーズナブルだと思いますし。
海野さん
実際に登録者も、ほかのマッチングアプリと併用される方が多いです。既存のマッチングアプリにない部分を補完しながら、利用いただくことがオススメ。少しだけ登録の手間はかかるかもしれませんが、その分安心感や確実性は得られるはずですから。
藤原:
婚活ってひとりで進めがちなので、応援してくれる相談員の方がいるというのも大きいですね。
海野さん
そうですね。婚活ってモチベーションの維持も難しい。だからこそ、お見合いから交際まで私たちが伴走していくことでサポートしたいんです。「ひとりじゃないんだよ」というメッセージを伝えながら、これからもみなさんの婚活を応援していきます。

公的結婚相談所はパートナー探しのコンシェルジュ

行政が運営する結婚相談所とマッチングシステム。

実は、当初は私自身、行政が運営する結婚相談所というと「最後の駆け込み寺」のような先入観がありました。でも、、実際は気軽に利用でき、不安なことがあればすぐに相談できる「コンシェルジュ」のような存在でした。

パートナー探し・結婚に向けたステップは、周りに相談しづらい人も多いはず。そんな方には、一度「とりあえず相談してみようかな」という気持ちで、公的結婚相談所に問い合わせてみるのもいいかもしれません(移住前にパートナー探しについて相談できる自治体もあるそうです)。

既存の「マッチングアプリ」では得られない安心感と確実性を得ることができた今回の公的結婚相談所への登録。さまざまなツールを駆使しながら、これから僕もパートナー探しに励んでいきたいと思います!

松本市からのご案内
取材後の2023年4月から、松本市の結婚支援体制が変更になりました。担当部署が四賀地区地域づくりセンターから移住推進課に変更になり、市役所本庁舎でも結婚相談が可能です。
相談日、連絡先など詳しくはこちらからご覧ください。

構成・執筆:小林 拓水
撮影:五味 貴志