2021.10.19
緊急事態宣言全面解除 都内の信州ゆかりの飲食店 期待と不安
新型コロナウイルス緊急事態宣言が期限の9月30日で全面解除されることが決まった28日、東京都内にある信州ゆかりの飲食店の経営者は解除を歓迎し、今後の入り込み回復に期待した。ただ、感染再拡大の懸念は拭えておらず、不安は抱えたままだ。
「これを一歩として捉え、前向きに頑張る」。日本橋人形町の居酒屋「水天宮酒場ゴチ」代表の杉山健(けん)さん(54)=松本市出身=は話した。現在の営業は午後8時までだが10月からは同9時までにする予定。酒類の提供も再開するが、店内の消毒や換気を徹底し、客には飲食時以外でのマスク着用などを求める。
完全に感染が収束する見通しが立たない現状では正直、不安は解消されていない。それでも、以前より多く足を運んでくれる常連客もいて「元気づけられた」。客の支えを励みに店に立つ。
新宿ゴールデン街でバー「クラクラ」を営み、商店街振興組合理事長も務める外波山文明(とばやまぶんめい)さん(74)=木曽郡南木曽町出身=はこの日、店を大掃除した。今年に入り、ほとんど休業状態だったが、29日に酒を仕入れ、10月1日に営業を再開する予定だ。以前より1時間早い午後6時に開店し、常連客を迎え入れる。
営業を再開できることは率直に「うれしい」と感じるが、これまで「お酒が悪者にされてきた」との悔しい思いはある。地方から特産品などを仕入れている店もあり、「宣言解除の情報はもっと早く出すべきだ」と、政府の対応を批判した。(2021年9月29日、信濃毎日新聞)