2021.08.02
木曽漆器は高級なのに 飲食店に無料レンタルする訳は…
木曽漆器を個人や店舗に貸し出すサービス「かしだしっき」の利用を広げようと、事務局の「木曽くらしの工芸館」(塩尻市木曽平沢)が、飲食店限定でサービスを無料で受けられる試みを始めた。地元店舗の利用が伸び悩んでいるため、まずは実際に使って良さを実感してもらい、その後の利用増加につなげたいとしている。
このサービスは、若手職人でつくる「木曽漆器青年部」が、価格がネックになり購入しにくい漆器8種類を安価で貸し出している。昨年4月に開始し、県内外の個人や県外の料亭に貸し出してきたが、松本地域の飲食店の利用は1件にとどまる。地元で利用を広げるため、無料のお試しサービスを企画し、飲食店への打診を始めた。
6月下旬にお試しサービスを利用した松本市白板のラーメン店「とり麺や五色」は、予約を受けて提供する創作多国籍料理を漆器に盛り付けた。店主の西沢寛佳(のりよし)さん(40)は「初めて使ったが想像以上に食材を引き立ててくれた。地元の器ということもあり、今後も店での活用を検討したい」と話していた。
工芸館の百瀬友彦さん(37)は「店で使う器の選択肢に漆器を入れてもらえるようPRしていきたい」と話している。貸し出し期間は応相談。問い合わせは同館(電話0264・34・3888)へ。(2021年7月28日、信濃毎日新聞)
この記事を書いた人
1873(明治6)年に創刊した長野県で日刊新聞を発行する企業です。きめ細かい取材網を生かした公正で迅速な報道に努めてきました。紙面づくりや多彩なイベントを通じた読者との双方向性を大切にしながら地域の産業や文化の振興も目指してきました。販売部数は約43万9000部(2020年4月)。県内シェアは70%超。地域に親しまれ、信頼される長野県民の主読紙として、人と時代をつなぐ仕事に取り組んでいます。