「ホントにやるの?」から熱狂へ。長野オリンピックを振り返る座談会
長野オリンピックから23年。熱狂の裏側を新聞と座談会で振り返ります。
2022.04.12
長野には、長い歴史を持つ企業がたくさんあります。2代目、3代目…….と事業を受け継いだ人たちは、前代が築いた伝統を守る責任と、新たな時代に適応して企業を変化させていく知恵が求められます。
いま東京だけでなく、地方でもベンチャー企業が増え、「新しい会社をつくる」ハードルはどんどん下がっています。そんな中、長野県で「家業を継ぐ」選択をした、30代の経営者たちが鼎談。
ともに老舗企業を継いだ3人ですが、背景はバラバラです。ファシリテーターの藤原隆充さんは、祖母が創業した松本市の印刷会社「藤原印刷」で専務取締役を担当。登壇者の矢島義拡さんは、長野県白樺湖でリゾート「池の平ホテル」を27歳で事業継承して経営。また宮坂勝彦さんは、日本酒「真澄」の蔵元の後継ぎとして新商品の企画開発に取り組んでいます。
「日本酒」と「観光」は全く異なる業界ですが、鼎談のなかで同じような課題が見えてきます。それは「東京で売れる」トレンドを真似していくうちに、商品から土地固有の魅力が失われること。
この「模倣主義」の弊害に、宮坂さんと矢島さんは海外経験などから自業界を「相対化」することで気づき、長野の「地」の利を活かした対策を考えてきたそうです。
また、鼎談のなかで立ち上がったのは「血」の制約、すなわち「自分を活かすために家業があるのか、家業を存続させるために自分がいるのか」という問いです。宮坂さんは「家業は自分がやりたいことの延長線上に存在する」と語る一方で、矢島さんは「会社は公であり、自分はそこに適応させていく存在だ」と自らの個性を抑制します。
生まれた瞬間から否応なく存在する、家業という「血」の制約と、長野の風土に根ざした「地」の利。それらをいかに自らの人生に取り込み、前進する力に変えていくのか。
「新しいこと」が賞賛される一方、歴史や伝統、「地方にいること」が足枷だと捉えられかねない世の中で、自らのルーツに徹底的に向き合い、そこから生まれたストーリーを戦略に変える経営者たちの知恵に迫ります。
*本記事は、2/11に開催された長野県主催のイベント「シシコツコツ」内のトークセッションを記事化したものです。
トークセッションのアーカイブ動画も公開中です。
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撮影:タケバハルナ
編集:友光だんご