2024.02.13
結婚したいけどできない29歳が、“長野県最強“の結婚相談所に行ってみたレポ
こんにちは。SuuHaa編集長の藤原です。
長野県で生まれ育った僕は、大学進学を機に上京し、卒業後長野にUターンしてきました。これからも長野で働き続けたい、そして一緒に暮らしていけるパートナーがいたらいいな……と、夢を描きつつも、日々の仕事に精一杯でなかなか婚活まで手が回らない日々を送っています。
そんな中、「長野県最強の結婚相談所が諏訪にあるらしい」という噂を聞きつけました。その名も「花岡結婚センター」。長野県民であれば、道路沿いのレトロな白黒の看板を見たことがある人もいるのでは？
「花岡結婚センター」は、長野県で最も長い歴史をもち、これまで1400組以上の成婚を出してきたそう。なにより気になるのが、「花岡結婚センター」のホームページで日々婚活応援ブログを発信している代表・名取さんの存在……。
”婚活や就活、オーディションって、自分を売り込む営業みたいなもの✊
ハリウッドスターや芸能人だって、じっとしてるだけでキャーキャー言われてるんじゃないですよ。自分を売り込むための相当な努力をしています❗️
ご縁結び日記より
まずは自分のいいところ探し🔍
どんな人でもいいところがあります✨
私は、面談にきた人のいいところをすぐ見つけられます♪
これには私、自信があります⭐️”
自分の婚活以前に、もはや「花岡結婚センター」への好奇心が止まらないぞ……？
名取さんって一体何者なんだ……！？
というわけで、早速諏訪に伺ってお話を聞いてきました。
”長野県最強”名取さんの手にかかれば、エリアも距離も関係ない？
- 藤原
- 名取さん、今日はよろしくお願いします。
- 名取さん
- 自分で言うのもあれなんですが、私は長野県における結婚相談所の生き字引きだと思っていますから、なんでも聞いてくださいね。
- 藤原
- こ、心強い……！「花岡結婚センター」は、長野県における結婚相談所の元祖なんですか？
- 名取さん
- うちより古くから結婚相談所はいくつかあったんだけれど、みんな閉じてしまいました。ですから、いま長野県で一番歴史が長いのが、昭和59年創業の「花岡結婚センター（当時は花岡結婚相談所）」です。
- 藤原
- 創業当時から諏訪で営業を？
- 名取さん
- はい。昔は長野・松本・上田にも事務所を置いていましたが、平成20年に時代の流れを汲んですべて諏訪に集約しました。
- 藤原
- となると、相談にくる方は諏訪エリアの方が多いですか？
- 名取さん
- いえ、長野市、松本市、上田市、豊丘村、安曇野など、エリアを問わず県内各地からお問い合わせがありますね。他にも、お隣の山梨県や、岐阜県、愛知県、東京など県外からご相談にいらっしゃる方もいます。香港と長野をつないだこともあるのよ。
- 藤原
- えっ、香港ですか？
- 名取さん
- そうそう。塩尻の三兄弟からのご相談でね。まず、一人目の長男は地元の銀行員で、同じ銀行員の方とご成婚した。二人目の長女は日赤に勤めている医師とご成婚。ここまでは簡単よね。でも、三人目のメーカー勤務の次男が香港勤務だったのよ。
- 藤原
- （いきなりすごい話が出てきちゃったな……。）
- 名取さん
- さすがの私もそれは難しいと思ったんだけど、いろいろ考えた結果、長野市で教員をされているピッタリの会員さんを見つけたのよ。
彼が香港から帰省してきたタイミングでお見合いをセッティングしたら、お互い気に入って、なんと1ヶ月で結婚したのよ！ 私の方がびっくりしました。
- 藤原
- えー！すごい話だ……。成婚にはエリアはあまり関係ないんですね。
- 名取さん
- もちろん双方の希望はありますけどね。近くの人がいいっておっしゃる会員さんもいますから。でもね、結局近くのイマイチくんより遠くの燃える人ってなるパターンもあるのよ。
やっぱり、会うためにお金がかかるし、電話代もかかるし、もう結婚しようって逆に早く決まりますよ。
結婚相談所の気になる料金体系とサービスの流れは？
- 藤原
- 序盤から早速すごいエピソードが出てきましたが……。そもそも、花岡結婚センターにはどうやって登録すればいいんですか？
- 名取さん
- まずはお電話かホームページのフォームからお問い合わせをいただき、入会前にご相談の時間をきちんと取ります。一番最初に、うちは県や自治体がやっている相談所ではないから、入会金をいただきますよってお話は必ずさせていただきますね。
藤原- なるほど、料金体系はどうなっているんですか？
- 名取さん
- まず、二年間の登録料、情報提供料、写真代、経費、通信費が含まれた入会金をいただきます。男性は130000円（税別）、女性は70000円（税別）です。それから、初回のお見合い代が5000円。最後に、成婚された方は成婚料をいただきます。成婚料の金額は要相談です。
- 藤原
- 登録時に必要な手続きはありますか？
- 名取さん
- 料金とサービス内容に納得いただけましたら、戸籍抄本か独身証明書、住民票、認印をお持ちいただきます。それから、ここで写真撮影をしていただき、ヒアリングをしながらプロフィールシートを作っていきます。
自己PRがうまくできないという方は、私がお話を聞いて作成します。その後は、会員ファイルの中から気になる会員様とおつなぎするか、こちらからおすすめの会員様をご紹介し、お見合いをセッティングしていきます。
- 藤原
- プロフィール自体は結構シンプルなんですね。
- 名取さん
- これはあくまで会員様にお見せするためのものだから、すべてのデータをまとめた「台帳」が別であります。入会の際にいただいた情報から、面談でお話ししたこと、こちらでセッティングしたデートの日時まで全てアナログで管理しています。
- 藤原
- なるほど。
- 名取さん
- 初めてお会いする方にいきなりご家族の事情とか、離婚歴、持病のことは話さないでしょう？そういった事情はこちらで控えておいて、お互いがある程度お会いして関係が進むうちに、私からお伝えするか、自分から話してもらうかも相談します。
- 藤原
- そこまでフォローしていただけるんですね！ 最初のお見合いは、この事務所で行うんですか？
- 名取さん
- いえ、基本的には女性会員の方の近くの場所ね。コロナ前は、ホテルのラウンジにあるカフェを指定することが多かったけれど、コロナの影響で営業をやめちゃったところが多くて。コメダ珈琲さんとかロイヤルホストさんとか、今はいわゆるチェーン店を指定する場合が多いです。
- 藤原
- なるほど、逆に気軽でいいですね。2回目以降のデートは自分たちで決めるんですか？
- 名取さん
- 基本的にはね。でも、決められない場合はもちろん私がアドバイスしますよ。藤原さんは長野市よね？
だったら、二回目のデートは善光寺あたりに行って、藤屋御本陣でイタリアンを食べてきたらいい。逆に、同じ観光スポットでも戸隠神社は親しくなったら行ったらいいと思うわ。結構歩くから、女の子が足を痛めちゃうと良くないでしょう。
- 藤原
- おぉ……！県内のデートスポットも網羅しているんですね。
- 名取さん
- そうよ。最近も、「どこに行ったらいいかわからないからデート候補のリストを送ってくれ」って会員さんに10〜20箇所ぐらい候補を考えて送ってあげました。
会員のプロフィールは全て網羅！？成婚にかける思いの違い
- 藤原
- 登録されている方の年代はいくつぐらいの方が多いんでしょうか。
- 名取さん
- それはもう、若い方から年配の人までいらっしゃるのよ。会員様向けのプロフィールをお見せしましょうか。一番多い層は男女ともに30〜40代ね。でも、男性だと田岡さん（仮名）なんかは頑張ってるよ、65歳。それからこちらの佐藤さん（仮名）は80歳で書道の先生。
- 藤原
- 80歳の方も……！でも若く見えますね。
- 名取さん
- そうでしょう。こういう色気のある男の人はいつまでたっても老けないですね。もちろん、若い子もいるのよ。女性だと工藤さん（仮名）は留学帰りの優秀な子で、井上さん（仮名）はもう本当におすすめ！かわいらしいでしょう、彼女は松本出身でいい大学を出てて……。
- 藤原
- どんどん出てくる……！それにしても、全会員の方のプロフィールをちゃんと把握されてるんですね。
- 名取さん
- もちろん！ 全部知ってるわよ、全員とちゃんと話してるんだから。あのね、うちみたいな民間の結婚相談所って、確かにお金はかかるんだけれど、それにはちゃんと理由があるの。まず、うちは独自の会員さんをたくさん抱えているから、うちの中でマッチングが成立するの。
- 藤原
- というと？
- 名取さん
- 県や自治体が運営している結婚相談所になると、いくつかの団体がまとまって一つになっている場合が多いのよ。そうなると、例えば藤原さんがA子さんに会いたいですとなったときに、別の団体の窓口に話がいって、そこからA子さんに……って会うまでに時間がかかるでしょう。
- 藤原
- たしかに。
- 名取さん
- でもね、うちの場合は、男性会員さんと女性会員さんと私で、三角形の関係を作れるから話が進むのが早いの。さらにうちの場合は、「藤原さんっていう方が、あなたに会いたいって言ってるわ」って私がA子さんに直接伝えるの。そしていつなら会えるかを確認して、最初のデートのセッティングまでを一気につくって差し上げます。
- 藤原
- 日程調整まで、名取さんがしてくださるんですね！ ちなみに、もし最初のデートがうまくいかなかったり、連絡が途絶えてしまった場合は？
- 名取さん
- 私がすぐにお相手に「どうしたの？」ってフォローを入れます。もちろん、藤原さんから相談があったとはお伝えせずに、「最近どう？デート後にお話し聞いてなかったから気になっちゃって」ってさりげなーく反応を見ます。
- 藤原
- そこまでフォローして下さるんですね！
- 名取さん
- 結婚をまとめ上げるっていうのは、こういうこと。基本的に、直接会員様とお話しするのは全部私です。やっぱり、雇われた人がやっている結婚相談所と、自分が長年やってきて大事に作り上げてきた結婚相談所っていうのは、会員様に対して抱いている責任感が違うと思う。私がいないときや手が回らない時は、他のスタッフに伝言して代わりに対応してもらうこともありますけどね。
面談は「気さくなおばちゃん」と話す感覚でいい
- 藤原
- ほかに「花岡結婚センター」のこだわりはありますか？
- 名取さん
- 先ほどお話しした通り、まず入会前にきちんとご相談の時間をきちんと取ることです。お互いに「心」で繋がらないと駄目じゃないですか。丁寧にお話しを聞き出していくことで、まずは信頼関係を築きます。
- 藤原
- ちなみに、最初の面談ではどんなことを聞くんですか？
- 名取さん
- 分かったわ、じゃあ……、あなたが藤原さんね、こんにちは。
- 藤原
- あっ、こんにちは。（急にスイッチが入った……！）
- 名取さん
- 藤原さん、とっても素敵な方だから、ご縁がなさそうには見えないけどね。お仕事が忙しくてなかなか出会いがないのかしら？
- 藤原
- ありがとうございます……。そうですね、仕事が忙しくてなかなか。
- 名取さん
- そうよね、大変よね。藤原さんは長男なのかしら？ 将来的には長野で暮らすおつもり？
- 藤原
- はい、長男です。将来的にも長野で暮らせたらなぁと。
- 名取さん
- なるほどね。最後に彼女がいらしたのはいつ？
- 藤原
- えっと、それは、
- 名取さん
- うふふ。……っていうことからまず始めていきます。
- 藤原
- なるほど、質疑応答というよりは会話なんですね。
- 名取さん
- そうそう。初めてくる時はドキドキしちゃうかもしれないけど、気さくなおばさんと話す感覚でお話ししてもらえばいいの。
- 藤原
- ちなみに、最後に彼女がいたのはいつか聞くのはどうしてですか？
- 名取さん
- 過去の経験を聞くためね。中には、全くお付き合いをされたことがないまま結婚相談所にくる方もいらっしゃるからね。それはそれで、逆にそういう人の方がいいという人に出会うときにすぐ決断下せるから、マイナスにはならないのよ。あとは、タイプや条件を聞いていきますね。
- 藤原
- 好きなタイプを聞くと、「可愛い人」とか「優しい人」ってぼんやりしてしまう気がするんですが、どうやって聞いていくんですか？
- 名取さん
- 大丈夫。初めてここに来られて、こうして相談をしていく中で、「入会してくれたらあの会員さんが合いそうだな」っていうイメージが私の頭の中に出てきます。だからね、藤原さんにぴったりの会員さんももうわかってる。
- 藤原
- ！？
- 名取さん
- これは長年の勘ですね。お見合いを1日に20個くらいセッティングするし、年間20〜30組の成婚を出しているでしょう。誰と誰がうまくいったかっていうデータが蓄積していくからね、次第とわかるようになるわよ。藤原さんは、パーティーやアプリは試したことがある？ ああいう場では何が重視されるかわかる？
- 藤原
- 容姿、でしょうか。
- 名取さん
- そう。正直な話、そこだけですよね。お仕事や学歴、住んでいるエリア、趣味や話し方、何事にも釣り合いってあるでしょう？ 私は、全部を総合的に頭の中で考えるの。
- 藤原
- なるほど……。
- 名取さん
- それにね、結婚相談所に登録する方の容姿が優れていないかといったらそんなことはないのよ。特に、うちはかわいい女の子がすごく多いの。「結婚できなくて困っている」というよりも、「真剣に結婚を考えてるから、よろしくお願いします」って覚悟を決めている子たちがほとんど。
- 藤原
- ちなみに、容姿が理由で入会を断るパターンはあるんですか？
- 名取さん
- ありません。見た目なんて、変えればいいからね。私は婚活セミナーもしていますから、身だしなみを整えるアドバイスも希望があればしますよ。
- 藤原
- プロデュースまで……。ちなみに、一人当たり成婚までどれくらいお見合いするんですか？
- 名取さん
- 人によって全然違います。お見合いした1人目の方と結婚する方もいれば、お見合いはするけど２〜３年決まらないって方もいますね。藤原さんだったら、そんなことないから大丈夫よ！
- 藤原
- さっきから、なんだか魔法にかかったような気持ちです。僕も本当に結婚できる気がしてきました……。
- 名取さん
- （笑）。お世辞じゃないのよ？ 一応うちは男性会員さんは2年っていう登録期限があるのね。更新したい場合は、半額くらいの更新料をいただく。実はうちで多いのが、2年で退会して別の結婚相談所に入ってから、「やっぱりここがいい」って戻ってくるパターンなの。
- 藤原
- おぉ……。それは「花岡結婚センター」のサポート力を裏付ける説得力がありますね。
- 名取さん
- 更新した途端、結婚が決まる方も多いんです。やっぱりね、決断力のある人は結婚が決まる。覚悟が決まれば早いわよ。
ダイヤの押し売りまで！？ 結婚相談所のイメージが最悪だった時代を生き抜いて
- 藤原
- そもそも、名取さんご自身のご経歴が気になるのですが……。
- 名取さん
- 私は出身が諏訪なんですが、大学を卒業して、就職先をどうするか考えていた時に、親族から、「お世話になっている国会議員の先生が私設秘書を探している」ってお話をいただいて、しばらく東京の議員会館で秘書として働いていたんですよ。
- 藤原
- そんな過去が！
- 名取さん
- そうなのよ。10年くらい働いていたかな。30歳を過ぎる頃にはすっかりお仕事にも慣れたんだけれど、東京のきらびやかな面も、裏の面も一通り見させていただいてね、なんだか疲れてしまったんです。
- 藤原
- なるほど。
- 名取さん
- 都会は、人口は多いけれども、自分にとっては孤独を感じるところだとわかって。今度は地域のために貢献するようなお仕事をしてみたいなと考えていた頃に、当時東京で不動産の事業をされていた諏訪出身の花岡さんという方に、「地元で結婚相談所を始めるから手伝ってもらえないか」とお話をいただいて、長野に帰ってきたんです。平成3年からここで働きはじめたので、かれこれ33年になりますね。
- 藤原
- 当時の長野県の結婚相談所事情はどうだったんですか？
- 名取さん
- 当時は県内各地に結婚相談所がありました。ちゃんとしたところから、インチキなところまでね。自社も含めて、県内の結婚相談所の広告は全てファイリングしてあるのでご覧になりますか？
- 藤原
- えっ、ぜひ！
- 名取さん
- たとえば、この結婚相談所はインチキだったの。入会した男性に約60万円のダイヤモンドを買わせるのよ。すぐに潰れてしまって、うちで会員さんを引き取ってもらえないかってお話しがあったんだけどお断りしたんです。
- 藤原
- 外から会員さんを引き取ることもあるんですか？
- 名取さん
- 一部だけね。信頼できるところから会員様を引き取ったことはありますが、基本的にはお断りしていますね。
- 藤原
- なるほど、会員が増えればいいというわけではないんですね。
- 名取さん
- お断りした相談所の元会員さんが、買わされたダイヤモンドを持って相談にきたことがあったの。ダイヤモンドを見せてもらったら、60万の価値なんか全然ないのよ！ 私ぐらいの年齢になると、一眼見ればカラーとかカットからダイヤモンドの価値がわかるようになるでしょう。
- 藤原
- （なるの……？）
- 名取さん
- そんなふうに、昔は「結婚相談所は、結婚できない人がいくところだ」とか、「サクラがいるんじゃないか」とか言われていた時代なのよ。だから、私はそんなイメージを持たれないように、長く生き残っていくことを目指してやってきました。営業時間は直接電話に出るとか、そういう小さな努力の積み重ねで、真面目にね。
- 藤原
- やっぱり、長く続いている結婚相談所は信頼できますか？
- 名取さん
- そうね。インチキをやっていたら、人も来なくなるし、結局残らないです。大抵怪しいところは三年以内には潰れていく。だから、本当に結婚したいなら、ちゃんとコツコツやってきた結婚相談所に入ることよ。でも、ここ数年は、コロナの影響と、アプリが流行り出したことで結婚相談所は結構潰れてしまいましたね。
- 藤原
- やっぱり、コロナの影響は大きいんですね。
- 名取さん
- そうね。でも、コロナで緊急事態宣言がでたときも、バンバンお見合い作ってましたよ。だってね、コロナが落ち着くまで待つなんて言っていたら「会いたい」ってタイミングが全部ずれちゃうじゃない。
「密」がだめだったでしょ？ だから、レジャーシートとペットボトルのお茶を準備して、諏訪湖のほとりに3mあけて二人に座ってもらい、デートをして頂きました。
- 藤原
- すごい！ 今はアプリでの出会いが流行っていますが、その影響はどうですか？
- 名取さん
- 私はね、アプリ否定派じゃないのよ。いろんな人と付き合って、その中で結婚を考える人が見つかればいいなー、くらいの人はね、アプリでいいと思う。
ただ、結婚を前提として考えるんだったら、最初から結婚相談所に行って、私みたいな「地域のおばちゃん」に頼った方がいい。どれだけ時代が進んでも、うちみたいな結婚相談所がなくならないのはそういう理由ですよ。
結婚する覚悟を決めたら、「花岡結婚センター」のドアを叩いて
- 藤原
- ……よし！名取さん、僕、今日このまま登録していってもいいですか？
- 名取さん
- あら、それは嬉しいけれど、今日ここでっていうのは難しいですね（笑）。
- 藤原
- えっ。
- 名取さん
- 藤原さんみたいにね、初回の相談の時点で入会金を持ってくる方もいるのよ。でも私は、「その場で決めるんじゃなくて、ちゃんと考えてから出直して」ってお伝えしているんです。
- 藤原
- でも、その場で入会してもらった方が効率がいいですよね？
- 名取さん
- 私の目標は結婚を決めることだから、とにかく会員さんを増やして入会金で儲けたいだなんて思っていない。うちは女性会員さんからもしっかり入会金をもらいますし、本気で結婚を考えている方の入会しか受け付けていないんです。
- 藤原
- つまり、結婚する覚悟のある会員さんしかいないんですね。
- 配達のお兄さん
- こんにちはー。
名取さん- あら、どなたかからりんごが届いたみたい。誰だろう、宮澤さんかな？秋はご成婚のお礼にりんごがたくさん届くのよ。長野らしいですよね。
- 藤原
- 本当に地域密着型の結婚相談所なんですね。
- 名取さん
- 地元の人じゃなくたって、移住者の人にとっても地元の人に頼るのは心強いはず。右も左もわからないような土地で、アプリやパーティーで知らない人と出会うよりも安心感があるでしょう。
- 藤原
- ……あの、「花岡結婚センター」のすごさは十分わかったんですが、名取さんご自身の夢ってあるんですか。
- 名取さん
- 私はもう、成婚を出したいっていうだけでやっています。子供も自立したし、身体も健康で、たまに旅行も行ける。十分でしょう。だから、私の人生の目的として、一組でも多くの成婚を出したい。そうすれば、私が死んだあともそれは生き様として残る。
- 藤原
- 成婚を出すことこそが、名取さんの人生そのものであると。
- 名取さん
- 長野県では私が一番古くからやっているから、できるだけ長く続けたいとも思っています。私が引退する時がきたらここを引き継ぎたいっていってくださる方もいらっしゃるから、私がいなくなっても「花岡結婚相談所」は続いていくんじゃないかしら。レジェンドって言うのかな、「ずっとここにある」っていうのが大事なの。
- 藤原
- なるほど……。名取さん、また改めて相談に来てもいいですか？
- 名取さん
- ええ、お待ちしていますよ。親戚のお姉ちゃんみたいな感覚でいつでも頼ってきてくださいね。
取材を終えて
道沿いの看板をみて、興味半分で行った取材依頼。
お会いした名取さんは、接しやすい雰囲気と「この人なら任せられる」という信頼感に包まれていました。また、名取さんの成婚にかける熱意、他者の人生を預かる覚悟には圧倒されて、あっという間に2時間が経過していました。
パートナー探し、結婚については、マッチングアプリが普及する中で「自分自身でなんとかしなくちゃいけないもの」と思っていました。しかし、地縁が無くても他者に頼っても大丈夫という仕組みがあることは、自分にとって肩の荷が降りたような感覚です。
名取さんの言葉を噛み締めて、これからもパートナー探しの旅を続けていきたいと思います。
記事構成・執筆：丸山風音
撮影：丸田平
編集：飯田光平
